Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「太宰さん!」

蓮が大声で叫んで紫月を押す。直後、紫月の耳に銃声が響く。数秒後、二人揃って埃まみれの床に倒れてしまった。

「太宰さん、すみません。急に突き飛ばしてしまって」

「いや。ありがとう。お前に突き飛ばされなければ俺は……」

最悪の結末が頭に浮かぶ。手が震えた。顔を上げれば、二階へと続く階段の踊り場から外国人の男が銃を構えている。紫月も拳銃を構え、相手を睨み付けた。

「警察官相手に発砲するとは、大した度胸だ」

「俺はレオポルト・カフカ。ただ人を撃って殺す。それだけだ」

そう無表情で言い放ち、外国人ーーーレオポルトは再び銃を撃っていく。紫月と蓮は素早く物陰に隠れ、拳銃を発砲していく。

銃声が絶え間なく響く。リビングには銃弾が飛び交い、紫月と蓮はレオポルトを睨み付けていた。銃弾が切れる。レオポルトが放った銃弾に当たらないように物陰に隠れ、銃弾を素早くこめる。

「クソッ!」

いくら引き金を引こうと状況は良くも悪くもならない。紫月は唇を噛み締める。ここでずっと銃の撃ち合いをしている暇はないのだ。