Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「童話に見立てて殺人が行われているなど、報道機関などには教えていない。なのに何故あんたは童話殺人事件が起きていることを知っていたのか。犯人以外あり得ないだろう」

紫月が怒りを抑えながら言うと、千秋はまるで喜劇でも楽しんでいるかのように笑い声を上げた。

「何がおかしい?」

「フフッ。まさかそんな一言で疑われてしまうなんてね……。とんでもないミスだったわ。だけどその程度で私を止められると思わないで」

千秋が指を鳴らす。刹那、白い煙が紫月たちの周りに勢いよく立ち込める。

「うわぁ!!」

「な、何!?」

一瞬で蓮と真夜がパニックを起こした。肺が刺激され、紫月は激しく咳き込む。毒物を含んだ煙ではないものの、咳き込んでいる間は動けそうにない。

「あの子を救うのが先か、殺されるのが先か、ゲームの本番はここからよ」

千秋がそう言い、家の中へと消えていくのを紫月は咳き込みながら見た。