Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「三人寄れば文殊の知恵だ。頼む」

「ここにはもう三人以上揃ってるけど……」

彰の突っ込みに紫月を含む全員が心の中で同意した。真夜は『俺にできるのハッキングとかしかないけどそれでいいなら』と電話越しに考え始めた。

「河童……」

紫月は河童に関することを考えていった。河童は水辺に現れる日本の妖怪。手には水かきがあり、頭の上には水を蓄えた皿がある。獲物を水中に引き入れて殺したり、悪戯をしたりする。

「河童の伝説がある県にアノニマスは連れて行かれたのか?それとも水辺に関係した場所か?」

誰も何も答えない。時計の針だけが動いていく。その時だった。「未解決捜査課」のドアがノックもなしに開く。顔を上げた紫月たちが見たのは、ニタニタと嫌な笑みを浮かべている優我だった。

「……何の用だ?」

日が沈むまでにアノニマスの居場所を探さなくてはならない。しかし問題が解けない。その苛立ちから、紫月の口から自分でも驚くほど低い声が出た。