Anonymous〜この世界にいない君へ〜




「ハァ!?」

警視庁の片隅にある役立たずの烙印を押された警察官たちの集まり、「未解決捜査課」に大きな声が響いた。紫月以外の人間は全員、顔に混乱を浮かべている。

(やっぱりこうなるよな……)

紫月は心の中でため息を吐いた。アノニマスを救い出すため、出勤してすぐに紫月はアノニマスが誘拐されたこと、そして彼女が抱える過去のことを話したのだ。

「すごい……。何だか、ミステリー小説みたいな話ですね」

碧が読んでいたミステリー小説を床に落とした。その隣で彰はブツブツと「これは何かのドッキリ……ドッキリ……」と呟いている。

「だ、太宰さん!あの優しくて気品に満ち溢れた泉先生はそういう演技をしていたってことですか!?全然気付かなかった!!」

蓮は顔を真っ青にしながら頭を抱え、パニックになっている。その隣でまだ冷静さを保っている尚美が「どんな問題が出されたの?」と訊ねる。紫月がスマホの画面を見せると、全員が問題を読んでまた「は?」と声を上げた。