Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「ヘンゼルとグレーテル……。お菓子の家というメルヘンチックなものが登場するのに、それ以外の展開が最悪ですよね。それが現実で再現されるなんて」

碧が顔を真っ青にさせる。その隣で尚美はため息を吐いていた。紫月に修二が訊ねる。

「この事件、あの小説家の先生と天才ハッカーに協力要請できないか?」

「二人に訊いてみます」

紫月はスマホを取り出し、アノニマスと真夜にメッセージを送った。



その頃、アノニマスはロリータファッションの専門店に来ていた。そのお店の過去に売られていた服を見ていたところ、翡翠の好きそうなワンピースがあったので注文したのだ。

「泉様、いつもありがとうございます。こちら頼まれていた商品です。ご確認をお願いします」

「はい」

翡翠を演じながらアノニマスは袋を開ける。小ぶりのセーラー襟にパフスリーブのマリンブルーのワンピースだ。アノニマスは満足げに頷く。

「とっても可愛いです!夏に着るのが楽しみ!」