Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「そんなの、お粥を作るためですよ!太宰さんのことですから、お腹が空いたら甘いもの食べるつもりですよね?」

蓮の言葉に紫月は目を泳がす。紫月は料理を作るのが苦手なため、食事は外食かスーパーの惣菜が多い。冷蔵庫にもろくなものが入っていないのだが、お取り寄せしたスイーツだけは山のようにある状態である。

「……フルーツサンドでもダメだろうか?」

「胃腸が弱ってる時に食べるものじゃないですよ!」

蓮は二十分ほどでお粥を作り終えた。玉子の入ったお粥である。料理ができる奴はいいな、と紫月は思った。

「絶対にフルーツサンドじゃなくてこっちのお粥を食べてくださいね!!」

何度も念押しし、蓮は警視庁へと帰って行った。それを見送った後、紫月はソファへと横になる。瞼がだんだん重くなり、紫月は気が付けば夢の中へと入り込んでいた。



同じ頃、アノニマスの姿は自宅のマンションではなくカフェにあった。連載小説を書いてほしいと編集者から言われ、その打ち合わせに来たのである。