紫月はコホンと咳払いをした後、「予約をしていた太宰です」と店員に伝えた。店員は「太宰様ですね!少々お待ちください」と言い、店の奥へと消えていく。数十秒後、店員は白いパティスリーの箱を手に戻ってきた。
「バースデーケーキ、こちらでお間違いないですか?」
箱が開き、ケーキが顔を覗かせる。間違いない。紫月が一ヶ月前に予約をしたケーキである。
「はい。これです」
「ご確認ありがとうございます」
店員は丁寧に頭を下げた後、ケーキを紫月に手渡した。紫月はお礼を言ってパティスリーを後にする。ドアの外に出ると、一瞬で甘い香りが消えた。それがどこか寂しく感じてしまう。
夜になってもこの東京は賑やかだ。むしろ、夜が本番だと言うように騒ぐ者の姿も少なくない。今も多くの人が道を行き交い、紫月とすれ違っていく。
(あいつはどんな顔をするんだろうか……)
パティスリーの箱を見つめながら、紫月はこれから足を運ぶ場所を想像する。紫月が尋ねるなど、きっと相手は思っていないだろう。
「バースデーケーキ、こちらでお間違いないですか?」
箱が開き、ケーキが顔を覗かせる。間違いない。紫月が一ヶ月前に予約をしたケーキである。
「はい。これです」
「ご確認ありがとうございます」
店員は丁寧に頭を下げた後、ケーキを紫月に手渡した。紫月はお礼を言ってパティスリーを後にする。ドアの外に出ると、一瞬で甘い香りが消えた。それがどこか寂しく感じてしまう。
夜になってもこの東京は賑やかだ。むしろ、夜が本番だと言うように騒ぐ者の姿も少なくない。今も多くの人が道を行き交い、紫月とすれ違っていく。
(あいつはどんな顔をするんだろうか……)
パティスリーの箱を見つめながら、紫月はこれから足を運ぶ場所を想像する。紫月が尋ねるなど、きっと相手は思っていないだろう。


