Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「まさか。あいつは私を裏切った。私が復讐を提案しなければ、子どもをいじめた犯人たちを殺さなかったっていうのにね」

女の声は恐ろしいほど冷たいものだった。男は「そうか」とだけ答える。女は男に断ることなく車の助手席に乗り込んだ。男はため息を吐き、運転席に乗り込む。

エンジンをかけ、車はビルを離れていく。しばらくしてから女がスマホを取り出し、口を開いた。

「……次に殺すのはこいつよ。そろそろアレを始末したい」

スマホに一人の男の顔写真が映される。男は眉一つ動かさず、「わかった」とだけ答えた。