Anonymous〜この世界にいない君へ〜

芥川修二が亡くなって数日、彼の解剖が終わり、葬儀が執り行われた。

彼の死因は、何者かに頭部を撃ち抜かれたことによるものだった。おそらく即死だっただろうと幸成は話していたことを紫月は思い出す。

黒いスーツに黒いネクタイを締めた紫月は、ビニール傘を差しながら夜道を歩いていた。朝から降っている雨は今も激しさを保っている。紫月は無表情のままため息を吐いた。

警察官が殉職をした場合、葬儀には多くの警察官が駆け付ける。階級がそれなりにある修二ならば、本来ならば多くの部下や上層部に見送られるのが普通だ。しかし、先ほど紫月が蓮と共に顔を出した葬儀会場に警視庁の警察官の姿は誰一人としていなかった。

喪主を務めた修二の妻は、やつれて疲れ切っている様子だった。それは、最愛の夫を亡くした悲しみだけではないことは紫月と蓮には一目でわかった。

『芥川さん、連続殺人犯だったんですって』

『迷惑な話だ!こっちの仕事に支障があったらどう責任を取ってくれるんだか』