Anonymous〜この世界にいない君へ〜

修二の口調は荒くなり、その目には激しい怒りが滲む。そんな彼を見つめながら、紫月は心の中で「あなたの気持ちもわかります」と呟いた。この国では、裁けない罪があまりにも多過ぎる。

例えばアメリカでいじめが発覚した場合、いじめた人間は即刻退学処分となる。フランスではいじめは犯罪として認識されており、懲役刑や罰金刑が課される。韓国ではいじめが発覚した場合、審議会が開かれて加害者への処分が決まる。この処分の記録は成績や個人情報が記載された書類に残される。

しかし、日本では加害者が処罰を受けることはない。被害者が学校に行かなくなり、未来を閉ざされてしまっても、何もない。

「俺はそんな法で裁かれない犯罪者たちを殺してきた。こうしないと被害者は報われない。残酷な方法で殺してきた」

「芥川さん……」

修二の目が潤んだのを紫月は見た。修二は笑う。それは、今にもどこかへ消えてしまいそうだった。

「俺は馬鹿だった。刑事として信頼してくれたお前たちを裏切り続けた。……復讐をしたことに後悔はない。だが、こんな俺をもうそんな目で見ないでくれ!」