Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「芥川さん!!何故そんなことを!!」

紫月は雷に駆け寄り、修二を見上げる。修二の目には人を殺めた後悔や動揺は一切なかった。紫月の体に冷や汗が浮かぶ。

「……俺は、道を踏み外してしまった。ある人物の一言で復讐という名の地獄への道を選んだんだ」

「まさか……!」

「ああ。お前の想像した通り、俺が「童話殺人事件」の犯人の一人だ」

その一言で、紫月の心は絶望へと突き落とされた。捜査に誰よりも真剣に取り組み、紫月が憧れを抱いていた目の前の刑事が大量殺人犯だと、信じられなかった。しかし、紫月の目は彼が連続爆破事件の犯人を躊躇いなく殺害するのを見ている。

「芥川さんは、誰かを恨んでいたんですか?」

「亡くなった娘の原因は、クラスメートからのいじめによるものだった。娘の未来は強制的に絶たれたというのに、あいつらはのうのうと生きている!……それがどうしても許せなかった。でも、日本の法律ではいじめた人間を司法で裁くことはできない。学校で起きた問題は、学校で解決するべきという考えだからだ!」