Anonymous〜この世界にいない君へ〜

「内容は?」

「読み上げます!「犯人は、過去に大きな心の傷を負った人間。爆弾の作成の腕に自信があり、その威力がどれほどなのかを近くで見たいと思っている可能性が高い」だそうです」

「威力を近くで……。ということは、爆弾を仕掛けてから犯行現場に留まっている可能性が高いということか」

車は国道を走っていく。三十分ほどで高雄の居住地に到着した。築二十年以上は経っていそうなアパートである。一階の一番角部屋が高雄の住む部屋だ。紫月と蓮はすぐにその部屋の前に向かい、ドアをドンドンと叩いた。古いアパートにインターホンはなかった。

「坪内さん!警察です!」

「いらっしゃいましたら出てきてください!」

何度もドアを叩いたものの、ドアの向こうからは何の反応もない。警戒して居留守を使っているのか、二人が顔を見合わせた時だった。高雄の隣の部屋のドアが開き、中から目つきの悪い年老いた女性が不審そうに顔を覗かせる。

「騒がしいねぇ。一体何なんだい?」