親愛なる魔王様へ〜The Beast〜

「期待しているぞ」

クロード様の言葉が嬉しい。その期待には絶対に応えないといけない。僕は拳を握り締めた。



カラミティは、中世ヨーロッパのような町並みだった。こんな町並みは前世では写真でしか見たことがない。

僕とクラル様はローブを着て広間へと向かっていた。フードを深く被ってクラル様の後ろを歩く。カラミティは賑やかだ。視界がフードを被っているせいで狭いけど、様々な音が耳に飛び込んでくる。

「ここは賑やかですね」

「大きな町だからね。色んなものが揃ってる」

クラルさんは慣れたように人混みの中を歩いて行く。僕はついていくので精一杯だ。こんな人混みも喧騒もルーチェに転生して初めてである。

「いらっしゃ〜い!新作パンはいかが〜?」

「お母さ〜ん!これ買って〜!」

「こ、恋人へのプレゼントってどんなものがいいとかってありますか?こんなの初めてで……」

「やっと仕事終わったんだし、これから一杯飲みに行くか!」