レンの説得に成功し。
かなり心が軽くなった私。
もう何も怖くない状態です。なんでもかかってこいくらいの気持ちです。
そんなある日。
アキト軍が恩賞授与のために王宮へやってきた。
「リンー!」
「あ、トキ!久しぶりー!」
私を見つけるや否や、トキが走ってきてくれた…けど、勢い良く私に飛びつくもので。
私は咄嗟に受け止めきれず、二人で床に倒れ込む。
「いたー…。」
衝撃で瞑ってしまった目を開くと、目の前にトキの顔があって。
一瞬戸惑う。
「リン。」
「え?」
そのままトキの顔が私に近付く…が。
「お前等二人揃って油断も隙もねえな。」
るうが瞬時に私を救出。
一体何が起こったのか、現状把握できていない私にトキが笑っている。
「いやもう嬉しくて、つい。」
「ついじゃねえんだよ。」
「ただの感謝の気持ちだよ。そう噛み付かなくてもいいんじゃない?リンは誰のものでもないんだし?」
感謝の気持ち…?
キスされかけた気がしたけど、感謝の気持ちとしてする意味もあるのか!?
「私もう分からなくなってきた。」
「分からなくていい。」
そんな私たちを見たアキトも、嬉しそうに目を細めて見ています。
「トキを懐かせるなんてやるなあ?リン?」
「いやいや、懐かれてないよ。」
「俺はトキが自分から女に飛びつくのなんて初めて見た。」
そう言われたトキはすかさず反論。
「アキトは見境ないもんね?昨日も女の子連れ込んで楽しそうだったもんね?」
「なっ…馬鹿!連れ込んでねえよ!!!」
「あれ?リンの前で言うのはまずかった?」
「トキてめえ!待てコラ!!」
楽しそうに追いかけっこを始めた二人。
そんな二人をるうと見つめながら、やっと部屋が片付くねーと話していました。
私の分の恩賞がもう邪魔で邪魔で。
「トキー、もらってくれるなら早く持ってってねー。」
「リン本当に可愛いよ!ありがとう!!」
アキトを振り切って。
私に可愛いと言って。しっかり私の手を握るトキ。
その可愛いと言った台詞はお世辞だなと分かったのは、完全にトキの目がお金マークになっていたから。