見張りの兵に、なんとかバレないギリギリの死角をついて。
先に城壁の下に辿り着いたのは。
「やっぱり私の勝ちー。」
「…けっ。」
もちろん上の兵に聞こえないよう小声で。
ここまでは驚くほどうまく行った。
今日一番の山場はここだ。
「登ってあまりにも敵が多かったらすぐに降りてこいよ?」
「任せといて、全部やっつけてくる!」
「違う違う。降りろっつってんだよ。」
「大丈夫大丈夫!」
まだ日のある内に、城壁に向かって打ってもらった矢はそのまま。
私はこの矢を伝って上へ行きます!!!
ただ、一度使うと矢は折れるので。
かなり不安ですが一発勝負です。
「……。」
出来るだけ深く刺さっている矢だけに狙いを定めて。
「いってくるね。」
「ああ。」
私は地面を蹴って、大いに高く舞い上がる。