そうして、戦場となるディオン城を肉眼で捉えた。
アキト軍先頭集団と合流。
そして私の見据える先には、ディオン城の前に配置された万を超える敵兵。
平地の戦いになることを理解した。
「斥候出してたから平地戦は分かってたよ。」
「え!?なんで教えてくれないの!?」
「行く道で話そうと思ったらリンが突っ走って行ったんでしょ?」
「うっ…。」
トキは意地悪だな。
けど、そうか。
…平地戦か。
敵の布陣を見つめる私とトキ。
お互いに軍略を扱う者として、これほど興味を惹かれるものはない。
「…どう見る?」
「中央が攻めやすそうなのは罠かな。両翼どっちかを狙うのが良さそうだけど、左端に固めてる重装兵が気になるなー。」
「左が本命なんだろうね。」
「うん。」
トキと私の見解は相違なく。
問題は先攻を務める私の動き。まずどこを狙うか。
「俺なら右かな。」
「私は左ー。」
「だろうと思った。」
戦いのスタイルこそ違うけど、お互いの考えんとすることも理解できる。
まずは左を潰して相手の戦力を大幅に削ぎ落としたい私と。恐らく右を再起不能にして敵の自由を奪いたいトキ。
長い目で見たらトキの策が上策。
「うーん。」
「弓兵だよね。」
「うん、多すぎない?」
「あれでもまだ後ろに隠してそうだね。」