ぐーん、と背伸びをしてみる。
やはり夜更かしした後は身体が少し重い気がするけど、不思議と心は軽く感じる。
結局昼前にはるうに起こされて、私はごはんを食べたり、お風呂に入ったり、ダラダラ過ごしていたんだけど。
どうやら花嫁として向かう敵国へは、それなりの正装で赴かねばならないらしく、その準備でメイドさんたちが部屋でバタバタしている。
それを横になって眺めるだけの私。
「姫様!ではこちらへ!」
手際よく化粧を施し、髪の毛も綺麗に整えてもらった。
「さあ、こちらのドレスにお着替えください。」
「わあ、すごく綺麗なドレスだねー。」
「王妃様が姫様のために選んだものでございます。」
純白の、綺麗で華やかなドレスだった。
ママの優しさになんだか少し泣きそうにもなったけど。時間も時間なので、すぐに着替えに取り掛かる。
「ひ、姫さ…ま。」
「え…なに、変!?」
ドレスを着た私を見て、その場にいる数人のメイドさんたちが固まっている。
「大変、お美しくて…思わず。」
「はいはい。続きもよろしくねー。」
真に受けずさらっと流す私。メイドさんたちが若干呆れている感じがするけど気にしません。
最後はアクセサリーの類を付けて。
こうして私の身支度は無事に終わった。
「リン、とっても綺麗…。」
「ママ、ドレスありがとう。私浮いてないか心配だけど大丈夫かな…?」
「はぁ…。」
ママが様子を見に来てくれた。
既に仕上がった私を見て歓喜してくれているけども、ドレスが素敵すぎて気が引けています。
「ルイが可哀想ね…。」
「え?何か言った?」
「いえ、なんでもないわ。とにかくリン。お願いだから無理はしないで。身体に気をつけて…ね?」