戦に向けて、滞りなく準備が進む。



もう開戦も手の届く距離に見えて来た。





そんなある日。





私はとんでもない事件に巻き込まれる。







「姫様〜!」


「こっちを見てください〜!」




荘厳なセザール国の鐘の音が響き渡る中、国民たちが歓声を上げている。



“姫様”と呼ばれるその人物は、私ではなく。




艶やかで綺麗な黒髪の、まさしく姫と呼ばれるに相応しいとても綺麗な人だった。






「お久しぶりでございます、陛下。そしてエリク様。」



「元気そうで何よりだ、マリナよ。」




セザール王はその姫を、マリナと呼ぶ。



そんなこの場所は、王宮の私の大嫌いな例の広間で。朝からセザール王に呼び出され、レンとここへやって来た。



ちなみにるうはおつかいで街へ行ってます。





「エリク様、お会いしたかったです。」


「ああ。」


「お変わりありませんか?」


「無論だよ。」




エリクとこんなに嬉しそうに話してる人初めて見たよ。


大体人を不快にさせる人だからなー。