(一)この世界ごと愛したい




けど、すぐにぶんぶんと頭を振って。


私は現実に還る。





「シロ、もうちょっとだけ一緒にいよう。」




私はシロに身体を預けて、少しだけこの場で休む。





そよ風が、シロの温度が、心地いい。



実は本ばかり読んでいて、ちゃんとした睡眠を取っていなかった私。


ほんの数秒で、夢の世界に誘われた。










「ハル、リンいたぞー。」


「…またこんなとこで寝やがって。こんなんで本当に外に出して大丈夫なのか。」


「大丈夫じゃねえな、絶対。」




いつの間にか街から帰って来たハルとるうが、私を探しに来てくれて。


城内に連れて帰ってくれて。


部屋にある山のような本に驚きつつも、一先ずベッドに寝かせてくれて。







「…読み終わったっぽいな。」


「ああ。」


「荷物も準備されてるし…って、これはたぶん王妃がまとめたんだな。」


「もう、いよいよか。」




私の旅立ちがもう目前なことを察した二人。


しかし、私同様二人の覚悟も決まっているので。特に悲しむわけでもなく、寂しそうにする様子はない。





「出発には間に合ってよかったなあ。」


「白々しいな。勝手に出て行かねえようにリンの剣盗んだくせに。」


「…お前も乗り気だったろ。同罪だ。」


「もう随分使ってた剣だからな。納得するか分かんねえぞ?」




私の剣の行方は分からないが、二人には何か思うところがあったらしく。


私に内緒の秘策があるようだった。