(一)この世界ごと愛したい





夜ご飯の準備のため退室したママと、家庭教師が迎えに来てアルも自分の部屋に戻って行った。




地図いるかな。


あ、基盤と駒は流石に無理か。


本も気に入ってるのだけ持って行こうかな。




「は…入らん。」



やっぱり止めておこう。


あまり重くすると飛ぶのがしんどい。





そして暇になった私は、まだ挨拶出来ていない子がいることに気付き。


そこに向かうことにした。






広い草原で。


一際凛々しく佇むシロ。




「シローっ!」



私が呼ぶと一目散に駆け寄ってくれる。


本当は連れて行ってあげたいところなんだけど、世界各国飛び回る予定の私だから、逆に寂しい思いをさせそうなので置いて行くことにした。





「…行く行くは、アルを頼むね。」



アルが成長して、戦に出る未来があれば。


その時はアルを絶対守ってあげて。



シロは誰もが認める強い軍馬だ。だからこそ、今後も是非戦場で活躍してほしいと思う。





「私はもう、戦はしないけど。シロは絶対に戦い続けてほしいなって思ってる。シロの力はまだまだこの国に必要だからね。」




どこか寂しそうなシロは、私に擦り寄るように頭を寄せるので。私はよしよしとその頭を撫でる。


可愛い子ばかり、離れ難いなー。




そんなことを考えていると。


ふとあの日のことが頭を過ぎる。









『何年経ってもどこにいても、ずっと好きだよ。』




そんなことを言ってくれたレンとも、別れの時はとても離れ難くて。



あの時無意識に身体が動いて勝手に重ねてしまった唇に、そっと手を添えてみる。








「……レン…。」




何故だろう。



その名前を呼ぶだけで、少しだけ心が温まったようなそんな気がした。