夜ご飯の準備のため退室したママと、家庭教師が迎えに来てアルも自分の部屋に戻って行った。
地図いるかな。
あ、基盤と駒は流石に無理か。
本も気に入ってるのだけ持って行こうかな。
「は…入らん。」
やっぱり止めておこう。
あまり重くすると飛ぶのがしんどい。
そして暇になった私は、まだ挨拶出来ていない子がいることに気付き。
そこに向かうことにした。
広い草原で。
一際凛々しく佇むシロ。
「シローっ!」
私が呼ぶと一目散に駆け寄ってくれる。
本当は連れて行ってあげたいところなんだけど、世界各国飛び回る予定の私だから、逆に寂しい思いをさせそうなので置いて行くことにした。
「…行く行くは、アルを頼むね。」
アルが成長して、戦に出る未来があれば。
その時はアルを絶対守ってあげて。
シロは誰もが認める強い軍馬だ。だからこそ、今後も是非戦場で活躍してほしいと思う。
「私はもう、戦はしないけど。シロは絶対に戦い続けてほしいなって思ってる。シロの力はまだまだこの国に必要だからね。」
どこか寂しそうなシロは、私に擦り寄るように頭を寄せるので。私はよしよしとその頭を撫でる。
可愛い子ばかり、離れ難いなー。
そんなことを考えていると。
ふとあの日のことが頭を過ぎる。
『何年経ってもどこにいても、ずっと好きだよ。』
そんなことを言ってくれたレンとも、別れの時はとても離れ難くて。
あの時無意識に身体が動いて勝手に重ねてしまった唇に、そっと手を添えてみる。
「……レン…。」
何故だろう。
その名前を呼ぶだけで、少しだけ心が温まったようなそんな気がした。

