「…あ、そうだ。アルのこともよろしくね。」
「それはもちろん。幼いですが紛れもない王。ハル様と共にお支えする所存です。」
「うん。私の主観だけど、あと五年もすればアルは化けるよー。どの先代の王にも負けない才覚が芽生える。どうか絶やさないで。」
「アル様が…。」
もう既に、その蕾は花を咲かさんとしている。
私は王を続けると決意したアルの姿を思い出し、思わず笑みが溢れる。
「アルの未来が楽しみだなー。」
「…五年か。」
「ハル、五年後アルに負けたりしてー。」
「ああ?」
ハルは珍しく私を睨むけど。
流石にハルが負けることはないだろう。そんなことは分かっていますよ。
「単純に素材が良い上に素直だから、吸収力がすごいんだよね。」
「だからって俺が負けるかよ。」
「…大事に育ててよ。私の楽しみなんだから。」
この国を背負って戦う、アルの姿はさぞ眩しい光を放つだろうな。
この国の未来は明るいだろうな。
「…さて。食べたし、私は書庫に篭ります。」
「まだ寝なくていいのか?」
「うん。るうに買ってもらった本はちゃんと読んでいかなきゃ申し訳ないもんねー。」
それももう、残りわずか。
これを読み切ったらもう思い残すことはないので、私は出国します。
「悪いけど、私の出国手続きはよろしくね。」
広間を出る直前、私はこの場にいる人の誰かがやってくれればと思い声をかける。
「私には出来ません。」
「無理です、悲しすぎて。」
「そんな酷なこと我々に頼まないでください。」
まさかの家臣全員に断られた。
おいおーい。
皆さん、まだ私姫ですよー。王族ですよー。ちゃんと言うこと聞いてくれると嬉しいなー。

