(一)この世界ごと愛したい





この場にいる人たちを、巻き込みたくないから私は行くんだよ。


その気持ちを察した家臣達が、俯く。




「今までもこれからも何も変わらない。私は私のやり方でこの国を守るから。」


「城を出れば、誰も姫様を守れません。」


「私が大人しく守られてあげられるような姫じゃないの知ってるくせにー。」


「…それに、国から離れどうやって守るおつもりですか。」




決して、守ってほしくて言っているのではなく。どうにか私を引き止める術を探して言っているのは分かっている。



残念ながら、私はそれも読んでるよ。





「…盃あるかな?」


「さ、盃?」


「うんうん。ちょっと持ってきてー。」




私は盃を持ってくるように家臣の一人に頼む。


素早く持ってきてくれた家臣にお礼を伝え、私は特殊な炎をその盃に灯し置く。





「火事にならないように一応不燃系の炎にしたけど。酸素にかなり反応しやすくして酸化反応が起こるようにした。酸化反応を自動で勝手に繰り返すから。」




私が説明すると、ハルもるうも含めた全員が首を傾げる。




「…要は水でもかけて消そうとしない限りは消えないってこと。この火がもし消えることがあったら私はどこからでもここに駆けつける。何かあったらこれで知らせてねー。」


「それ俺に寄越せ。」


「ハルとるうは触らないで。どうでもいい時に呼んで、本当に必要な時には呼ばないだろうからダメです。」


「…お前、俺に冷たくなったな。」




ハルはまたがっくしと項垂れる。


るうも不服そうに私を見る。




「…何で俺もなんだよ。」


「るうだってハルとそう変わらないでしょ。」


「一緒にすんな。」


「それにるうは逆に私を探せるんだから別にいらないじゃんー。」




それもそうかと。


るうは納得出来たようでよかったです。






「だから、みんなよろしくね。」


「よろしく…とは…。」





「なんにも変わらない。これまで通り大好きなこの国を、一緒に守っていこうね。」





ふわりと笑った私に、家臣達はもう何も言えない。



引き止めたい気持ちがなくなったわけではなく。


それでも、自らの首を締めながら旅立とうとする私を。



これ以上繋ぎ止めることが、私のためになるとは思えなかったんだろう。