「姫様だ…。」
「気を付けろ、怒りを買うな。」
「いつご乱心されるか分からん。」
…これはこれは。
今まで丁重に扱われ続けてきた箱入りの私。
不思議と悲しくはないのはやはり、後ろから追いかけてくる二人の存在が私には大きすぎるから。
「結果は上々…かな。」
そんなことを思いながら、広間へ入る。
ママはいない。たぶんこの混乱が落ち着くまでママも、出来るだけ部屋にいるようにハルが促したんだろうな。
「…リン、大丈夫か?」
「ハル静かに。」
広間には給仕に徹する使用人の方々がいる。
誰もいないところならまだしも、こんなところで作戦がバレれば私の名演技が台無しだ。
私とハルがここに来る時は食事の時だけなのを、城の皆さんご存知なので。
いくら私に不信感があるとは言え、仕事を放棄することは出来ないためお料理が次々に並びます。ちなみにるうはいつもはお手伝いしてるけど、今日はママもいないし一緒に食べることにしました。
鶴の一声ならぬ、ハルの一声です。
「ごゆっくりお召し上がりください。」
「ありがとー。」
ハルとるうが神妙にするので、せめて私だけでもお礼を伝えて。使用人さん達に退席いただきました。
「…いい感じだね。」
「さっきまで泣いてたくせに。」
「ハルは意地悪だねー。私ここ出た後、劇団で働くのもいいんじゃないかと思えてきたよー。」
「リンが…劇団…。」
ハルとるうは思い思いに想像しているっぽい。
「か、可愛すぎる!絶対全公演追っかけて観たい!」
「ダメだ。劇団なんて男もいるぞ。」
「確かにそれは危険だ。可愛いリンはすぐに狙われる。劇団はやめろ。」
その理論で行くと、私は女の人しかいない職場でしか働かないってことですね。
そんな職場あるかな???

