(一)この世界ごと愛したい





「姫様だ…。」


「気を付けろ、怒りを買うな。」


「いつご乱心されるか分からん。」




…これはこれは。


今まで丁重に扱われ続けてきた箱入りの私。



不思議と悲しくはないのはやはり、後ろから追いかけてくる二人の存在が私には大きすぎるから。






「結果は上々…かな。」



そんなことを思いながら、広間へ入る。


ママはいない。たぶんこの混乱が落ち着くまでママも、出来るだけ部屋にいるようにハルが促したんだろうな。





「…リン、大丈夫か?」


「ハル静かに。」




広間には給仕に徹する使用人の方々がいる。


誰もいないところならまだしも、こんなところで作戦がバレれば私の名演技が台無しだ。




私とハルがここに来る時は食事の時だけなのを、城の皆さんご存知なので。


いくら私に不信感があるとは言え、仕事を放棄することは出来ないためお料理が次々に並びます。ちなみにるうはいつもはお手伝いしてるけど、今日はママもいないし一緒に食べることにしました。



鶴の一声ならぬ、ハルの一声です。




「ごゆっくりお召し上がりください。」


「ありがとー。」



ハルとるうが神妙にするので、せめて私だけでもお礼を伝えて。使用人さん達に退席いただきました。





「…いい感じだね。」


「さっきまで泣いてたくせに。」


「ハルは意地悪だねー。私ここ出た後、劇団で働くのもいいんじゃないかと思えてきたよー。」


「リンが…劇団…。」



ハルとるうは思い思いに想像しているっぽい。





「か、可愛すぎる!絶対全公演追っかけて観たい!」


「ダメだ。劇団なんて男もいるぞ。」


「確かにそれは危険だ。可愛いリンはすぐに狙われる。劇団はやめろ。」




その理論で行くと、私は女の人しかいない職場でしか働かないってことですね。



そんな職場あるかな???