(一)この世界ごと愛したい





馬を走らせ、大急ぎで城に戻ったるう。


腕の中の私は相変わらず眠ったまま。






「ルイ!!!」



その帰りを城門でずっと待っていたハル。




「…疲れて寝てるだけだ。」


「思ったより時間掛かってるし、途中伝者からシオンが指揮取ってるって聞いて焦った。」


「案の定シオン将軍に連れて行かれる寸前だった。」


「…アイツ次戦で会ったら絶対殺す。」



抑えきれない殺気が漏れ出すほど、ハルはこの一件を重く捉えていた。




「ハルが晩飯待ってるっつーから、城に着いたら起こすって言ったんだけど。どうする?」


「…パルマの件で城は混乱してる。今はまだ起こすな。とりあえず部屋まで運ぶぞ。」


「ああ。」



るうから私を受け取り、抱えて歩くハル。


今まで私に優しくしてくれていた城の人達でさえ、今回の一件で私を不審に思っていて。その目はもう優しいものではない。





「まさか本当にお一人で敵を追い払うとは。」


「パルマはその練習台だったんじゃないか…?」


「な、何かあればこの城も危ういぞ!?」


「姫様の気に触れないよう気を付けろ。」




有る事無い事、既に流言が出回る。


苛立つ気持ちを抑え、何とか穏便に部屋に到着したので、ベッドに私を寝かせるハル。




「我慢も結構堪えるな。」


「結局、真相を知ってんのは俺らと王妃だけか?」


「今のところは…な。」



ハルは相当参っているようで、ベッドで眠る私の横で私に擦り寄るように項垂れる。




「情報操作なんてちょっと大袈裟すぎねえかと実は思ってたけど、シオン将軍の話でリンが何から国を守ろうとしてんのか分かった。」


「…リンも驚いたろうな。あのシオンがこれだけ早く動くとは俺も流石に肝が冷えた。」


「それにしても、城の中だけでもあの流言止めさせらんねえのか?俺もう近々斬りそうなんだけど?」


「俺なんてもう城ごと叩き潰してやりてえ。」