(一)この世界ごと愛したい





「…この一手は彼女の一手ではない。」


「は?」


「戦の神は、どこまでも貴女を守りたいようですね。」



確かに私がるうをここに必ず来いと呼んだわけじゃない。そんなるうがここに来たのが、神の力だとシオン将軍が言っている。





「一度退くと言いましたし、今回は大人しく退きます。」


「……。」


「気を付けた方がいい。貴女のその力、今全世界が注目し欲している。」


「…今日は…よく、喋るね。」




力なく私がそう返すと、シオン将軍は小さく溜め息を吐く。




「…それに気付かない人ではないか。」


「うん。」


「ではまた。」


「…もう会いません。」



私が会わないと言うと、何も言わず。


そのまま背を向けて、エゼルタ軍を追いかけるように去って行った。








「…ねえ、るう。」


「あ?」


「なんで来てくれたの?」


「はあ?」



だって、絶対に来てなんて言ってないし。


寧ろこんなことにはならないと、私は伝えていた気もする。力は全解放しないって話もしてたし。





「…こうなるって分かってた?」


「分かるわけねえだろ。」


「じゃあ直感?」


「ハルが城に戻ったのと同時にここに向かうことは決めてた。」




やっぱ直感の類か?


ハルもよく直感で動くタイプだし、二人はよく一緒にいるから通じるものがあるんだろうか?






「お前が助けに来いって言ったんだろ。」


「場合によっては…って話で…。」


「…今までリンが俺を頼らねえのは、どうせ俺に変な気回して頼れねえんだと思ってた。」




まあ、そうです。


傷付けたくない、怪我させたくない。ハルの従者なんだから、私のことに巻き込みすぎてはダメだと。勝手に思っていた。




「リンがこの石を俺にくれたのは、ハルを城から離れさせないように、あくまでも国を守るためだと思ってた。」



それも、ないことはない。


たかが一週間旅行に行ってるだけで我慢できずに追いかけてこようとしたくらいだし。ハルに持たせると自由に城から離れてしまうと、少しは考えた。






…だけど。




「そうやって、いつも一歩引いてたのはよく考えたら俺の方だった。そんな俺に、お前が初めて一歩踏み込んだ。これに応えられねえようじゃ、俺はいよいよお前の横には並べねえだろ。」