楽しい楽しい、少し切ない旅行を終え。
その帰路を辿る私とるう。
別荘を出て、ひたすら馬車に乗って。街へ一泊して。そしてまた馬車で城のある王都を目指す。
「お土産たくさん買えたねー。」
「おかげで持ってきた金ほとんどなくなった。」
「るうありがとうー!」
「はいはい。どうせ俺はお前にしか金使うことねえからな。」
お土産も買ってもらったし。街で私がほしいと言うもの全て買ってくれました。優しいるうさんです。
「もうすぐお城に着いちゃうねー。」
「ああ。」
「とりあえずコーヒー飲みたいなー。」
「また考え事か?」
私がコーヒーを欲する時は、大体寝起きか考え事をする時だと知っているるう。
…図星すぎて、もう恥ずかしいです。
「ちょっとね、私が良い人すぎるのが悩みなんだよね。」
「…自分で言うのはどうなんだ。」
「これが本当に今そこそこ問題な気がしてるんだよー。」
街での私の心象がどうにも不安だ。
戦神とか、国思いの優しい姫とか、女神とか、強く気高い姫とか。もうその他諸々。
アレンデールは開国国家。
様々な国の人々が行き交うことができるオープンな国なので、他国の間者が紛れていないわけがない。
「もう少し悪役っぽい方が都合がいいんだけどなー。」
「…また良くねえこと考えてんな?」
るうが私のほっぺをつねる。
「いひゃいれす。」
「無理すんな。無茶もすんな。」
私を睨みながら言って、手を離す。
あれからるうは、私に必要最低限触れることはない。
甘ったるくて胸焼けしそうな旅行期間を過ごしたけど、まるで夢だったみたい。