馬車を降りてカタルは顔を引きつらせる。看板を見て、目的を理解したのだろう。
「どういうことだ?」
「もちろん、今日は二人でアッシュのお洋服を選びに来たのでしょう?」
シャルロッテは何食わぬ顔で子ども服専門のブティックへと入っていった。
店内にはたくさんの子ども服が展示されている。ここが一番人気の店だと雑誌で読んだことがあったのだ。
「アロンソ公爵、ベルテ伯爵令嬢もようこそお越しくださいました」
店主らしい女性が慌てた様子で挨拶をする。カタルの顔を知らない人はいない。なにせ、新聞の一面に何度も載っている顔だ。あまりに載りすぎて、ふだん新聞を買わない貧民でも知っているだろう。
先日は「あの『冷酷悪魔』が『変人令嬢』と再婚!」という見出しで一面に載っていた。知らないというほうがおかしい。
「実は息子の服を買いに着たのです」
「まあ! アッシュ殿下はどちらに?」
「それが、人見知りをしてしまって。今日は家に。サイズは持って来た服を参考にしていただけると助かります」
シャルロッテは荷物の中からアッシュの服を一着差し出した。尻尾が出ない数少ない服だ。
「このサイズと同じですと、こちらのカタログが対象ですね。子どもはすぐに成長しますので、もうワンサイズ大きいのを購入するのもよろしいかと思います」
「そうですよね。じゃあ、こっちのカタログも借りますね。カタル様、どれがアッシュに似合うと思いますか?」
シャルロッテは二つのカタログのうちの一冊をカタルに手渡した。
(こうやって少しずつ、アッシュに関わる時間が増えれば、カタル様もアッシュに自然に接することができるはずよ)
「服のことはよくわからない。君が全部選ぶといい」
「だめですよ! カタル様も選んでください。アッシュもパパが選んだ服だと言ったら喜ぶと思います」
「誰が選んでも一緒だろう」
「そんなことはありません。一着でいいので、ね?」
「どういうことだ?」
「もちろん、今日は二人でアッシュのお洋服を選びに来たのでしょう?」
シャルロッテは何食わぬ顔で子ども服専門のブティックへと入っていった。
店内にはたくさんの子ども服が展示されている。ここが一番人気の店だと雑誌で読んだことがあったのだ。
「アロンソ公爵、ベルテ伯爵令嬢もようこそお越しくださいました」
店主らしい女性が慌てた様子で挨拶をする。カタルの顔を知らない人はいない。なにせ、新聞の一面に何度も載っている顔だ。あまりに載りすぎて、ふだん新聞を買わない貧民でも知っているだろう。
先日は「あの『冷酷悪魔』が『変人令嬢』と再婚!」という見出しで一面に載っていた。知らないというほうがおかしい。
「実は息子の服を買いに着たのです」
「まあ! アッシュ殿下はどちらに?」
「それが、人見知りをしてしまって。今日は家に。サイズは持って来た服を参考にしていただけると助かります」
シャルロッテは荷物の中からアッシュの服を一着差し出した。尻尾が出ない数少ない服だ。
「このサイズと同じですと、こちらのカタログが対象ですね。子どもはすぐに成長しますので、もうワンサイズ大きいのを購入するのもよろしいかと思います」
「そうですよね。じゃあ、こっちのカタログも借りますね。カタル様、どれがアッシュに似合うと思いますか?」
シャルロッテは二つのカタログのうちの一冊をカタルに手渡した。
(こうやって少しずつ、アッシュに関わる時間が増えれば、カタル様もアッシュに自然に接することができるはずよ)
「服のことはよくわからない。君が全部選ぶといい」
「だめですよ! カタル様も選んでください。アッシュもパパが選んだ服だと言ったら喜ぶと思います」
「誰が選んでも一緒だろう」
「そんなことはありません。一着でいいので、ね?」



