【書籍化】狼皇子の継母になった私の幸せもふもふ家族計画

 カタルはオリバーを一瞥すると、自分自身の服を銜えて部屋を出て行った。楽しそうにアッシュがその後ろをついていく。
 尻尾の揺れ方が似ている。本当の父子のようではないか。
 しばらくして、カタルはアッシュを連れて戻って来た。アッシュもカタルに合わせて人間の姿に戻ったらしい。

「あの女の記憶は一部改ざんして、誘拐として処理をする」
「了解。まあ、それしかないね。当分、地下牢を借りるよ」

 カタルとオリバーはテキパキと事後処理を済ませていく。シャルロッテはアッシュを膝に乗せて、それを呆然と眺めることくらいしかできなかった。

(地下牢なんてあるんだ……)

 記憶の改ざん。カタルやアッシュのことを外部にもらさないための処置だろう。すべての話が終わったのか、オリバーは気絶したマリンの身体を抱えて部屋を出て行った。多分、地下牢に入れるのだろう。
 アッシュの部屋に三人が取り残される。
 沈黙が続いた。

(気まずい……。でも、カタル様のほうが居心地悪いよね? 私が何か話題を振るべきかな……)

 その心配は必要なさそうだ。
 カタルは小さく息を吐き出すと、アッシュの前に膝をつき目線を合わせた。

「アッシュ、今まで父親らしいことができなくて悪かった」

 カタルの低い声がわずかに震えている。