【書籍化】狼皇子の継母になった私の幸せもふもふ家族計画

 不思議と恐怖はなかった。

「初めて見ました」

 シャルロッテはにこりと笑った。
 腕の中にいたアッシュが、もぞもぞと動き始める。そして、シャルロッテの腕の中から飛び出すと、嬉しそうにカタルの周りをぐるぐると回った。
 カタルの腕に絡みつく。カタルは慎重に相手をしていた。

(よかった。大丈夫そう……)

 アッシュの相手をすることで、カタルを苦しめないか心配だった。しかし、今のカタルは父親らしい顔をしている。尻尾も優しく揺れていた。

「それにしても、この状況はどうしたらいいのでしょうか?」

 カタルとアッシュの秘密を知ってしまった人間をどうすべきか。カタルに話しかけたのだが、彼は狼の姿のまま、シャルロッテを見つめ返した。そして、シャルロッテの隣に寝そべってしまう。

「えっ!? どういう意味ですか? 放っておけってこと!?」

 もう、何が何だかわからない。アッシュはカタルの狼の姿がよほど嬉しいのか、尻尾にじゃれついて遊んでいる。カタルもいやではないのだろう。尻尾を揺らしながらアッシュの相手をしていた。

(もふもふが二匹……ここだけ楽園……)