二人はまっすぐ別邸に駆けた。
本邸と別邸の扉をくぐる。シャルロッテのブレスレットはなかったが、カタルは指輪を鍵にしていたらしい。別邸に入ったところで、アッシュの叫び声が聞こえた。
「やーっ! 放してっ」
シャルロッテとカタルは顔を見合わせる。
「二階の部屋だ」
「すぐに行きましょう!」
シャルロッテはドレスのスカートを持ち上げて階段を駆け上がる。
靴はとうに脱ぎ捨てた。
(どうしてこんなことをするの!?)
好奇心だけだろうか。
胸がざわめく。
紅茶をかけるところまでが計画だったのだろう。こんな大胆なことを、ただの好奇心でするとは考えられない。
アッシュの部屋にたどり着くと、ベッドの端にしがみつくアッシュをマリンが引きはがしているところだった。
「さあ、アッシュ坊ちゃま。本物のお母さまのところに戻りましょう」
「やだ! アッシュはママのところにいる!」
「坊ちゃまは騙されているのですよ!?」
「やだっ!」
女性とは言え、子どもと大人。アッシュはベッドから引きはがされてしまう。
シャルロッテは、そのままアッシュを連れて行こうとするマリンの前に立ちふさがった。
「マリン、アッシュを返して!」
「ママ~!」
アッシュが泣き叫ぶ。しかし、マリンは顔色を変えずシャルロッテを見た。
「アッシュ坊ちゃまは本物の母親のところに返していただきます!」
彼女の力強い言葉にシャルロッテは目を瞬かせた。
「あなた、まさか……クロエ様の?」
「はい。私はクロエ・ピエタ様の侍女。アロンソ家からお嬢様の最愛の息子を返してもらいに来ました」
「じゃあ、今まで新人のふりをして……?」
「はい。クロエ様は再三アッシュ坊ちゃまとの面会を希望しておりました。しかし、アロンソ公爵は一度も返事をいただけずこうするしかなかったのです」
本邸と別邸の扉をくぐる。シャルロッテのブレスレットはなかったが、カタルは指輪を鍵にしていたらしい。別邸に入ったところで、アッシュの叫び声が聞こえた。
「やーっ! 放してっ」
シャルロッテとカタルは顔を見合わせる。
「二階の部屋だ」
「すぐに行きましょう!」
シャルロッテはドレスのスカートを持ち上げて階段を駆け上がる。
靴はとうに脱ぎ捨てた。
(どうしてこんなことをするの!?)
好奇心だけだろうか。
胸がざわめく。
紅茶をかけるところまでが計画だったのだろう。こんな大胆なことを、ただの好奇心でするとは考えられない。
アッシュの部屋にたどり着くと、ベッドの端にしがみつくアッシュをマリンが引きはがしているところだった。
「さあ、アッシュ坊ちゃま。本物のお母さまのところに戻りましょう」
「やだ! アッシュはママのところにいる!」
「坊ちゃまは騙されているのですよ!?」
「やだっ!」
女性とは言え、子どもと大人。アッシュはベッドから引きはがされてしまう。
シャルロッテは、そのままアッシュを連れて行こうとするマリンの前に立ちふさがった。
「マリン、アッシュを返して!」
「ママ~!」
アッシュが泣き叫ぶ。しかし、マリンは顔色を変えずシャルロッテを見た。
「アッシュ坊ちゃまは本物の母親のところに返していただきます!」
彼女の力強い言葉にシャルロッテは目を瞬かせた。
「あなた、まさか……クロエ様の?」
「はい。私はクロエ・ピエタ様の侍女。アロンソ家からお嬢様の最愛の息子を返してもらいに来ました」
「じゃあ、今まで新人のふりをして……?」
「はい。クロエ様は再三アッシュ坊ちゃまとの面会を希望しておりました。しかし、アロンソ公爵は一度も返事をいただけずこうするしかなかったのです」



