【書籍化】狼皇子の継母になった私の幸せもふもふ家族計画

 慌てたマリンがシャルロッテのドレスを脱がしていく。下着姿になって、シャルロッテはホッと息を吐いた。
 しかし、熱湯がかかったところがヒリヒリと痛い。

「ああ! 赤くなってる! 冷やすものをお持ちします! お待ちくださいっ!」

 マリンが慌てて走っていった。
 シャルロッテはホッと息を吐き出す。

(さすがに下着姿で待つのはちょっと恥ずかしいな)

 熱湯がかかったのは腕だ。袖のあるドレスだったから、直接かかったわけではないため、ほんのり熱を帯びている程度だった。
 この程度なら火傷というほどでもなさそうだ。ドレスを着ても問題ないだろう。

(まったく、マリンはおっちょこちょいなんだから)

 シャルロッテは扉から顔を出し、部屋の外にいるメイドを一人招き入れた。そして、着替えを手伝ってもらう。

「なかなか戻ってこないな」

 冷やすものであれば、食堂だろう。シャルロッテの部屋は三階で食堂は一階だ。慌てていたせいで何かへまでもしているのではないか。
 シャルロッテはわずかに熱を帯びた腕をさすった。

「あれ……? ブレスレットがない……」

 右腕にしていたはずだ。眠るときも肌身離さずつけていた。なぜ、それがないのか。
 シャルロッテは呆然と自身の腕を見た。