カタルは何も言わずシャルロッテを見つめた。

(すごい無責任なこと言ってるかも)

 シャルロッテは慌てた。無理する必要はない。今は一人ではないと、そう言いたいだけなのだ。ただ、うまい言葉が見つからない。そのままの言葉でぶつけても、彼は重く受け止めるだろう。

「私にはまだ甥っ子とかいないんですけど、ノエルの……えっと、弟に子どもができたらすごくかわいがっちゃうと思うんです。だから、そういう気持ちでいいと思うんですよ!」

 うまく伝わった気がしない。
 シャルロッテは眉尻を下げた。カタルがシャルロッテを見上げる。まだ元気はない。しかし、昨日よりはずっと顔色がよかった。
 一人だけ立ち上がり演説していたことに気恥しくなって、シャルロッテはソファに腰を下ろした。

「すまない。気を遣わせたな」
「いえ、謝らないでください。カタル様が笑っていてくれたほうが、アッシュも幸せだから」
「そうだな。ありがとう」

 しばしの沈黙が続いた。
 どんな言葉をかけるべきか。シャルロッテは頭の中で思案するが、なかなかいい言葉は見つからない。「きっとうまくいきますよ」なんて安易な言葉を投げかけられるような状況ではないのだ。