あやめさんの興奮したような声と雅紀さんの少し上擦った声を聞いて頭を働かせようと思っても、もう頭の中の十割を占めている彼には逆らえない。
落ち着くようにと昨日から何度も繰り返ししている、全然効果のない深呼吸を小さく一回してみても、
昨日の夢のような出来事が何度も繰り返し頭の中で再生される。
彼の真っ直ぐな熱い瞳が脳裏に焼き付いて、
私には勿体ないくらいの甘い言葉はずっと耳の中でじんじんと余韻を残してる。
全然信じられない事なのに、
愛おしそうに撫でてくれる少し震えた手とか、
眉を寄せた苦しそうな表情とか。
嘘でも自惚れでもなんでもなくて、
信じなきゃ失礼だと、そう思うくらい、
彼の想いが伝わってきた。
だからこそ、どうしたらいいのか分からなくて何も言えなかった。
私も真っ直ぐに伝えたいのに、答えたいのに、今までの自分が足枷になって怖くて一歩が踏み出せなかった。



