ああ、ごめん、ごめんね実里。


なんにもしてあげられなかった。


あんなに偉そうなことばかり言ったのに。


頼ってくれたのに。


なにも守れなかった。



ごめん


ごめんなさい


私なんて


私なんて




「菫を運んでおけ」



音が遠くなる。


痛みは感じない。


業火のような感情だけが残った。




「ばかだな、姉さん」




視界が暗転した。