花隠し



信じられなかった。



邪悪にほほえみ実里の神経を逆撫でているこの人間は、本当にあの守助なのだろうか。



屋上での実里の姿を目撃していてなお、実里のお母さんを川に放置したということ?



私の優しい弟が、そんなことするの?



「もう村の連中が集まりはじめてます。行っても無駄です。まだあなたの母親の命があればそのまま山へ。命がなければ亡骸として処理されるでしょう」



淡々と言う守助。



「むやみに止めに入っても力ずくで取り押さえられるだけだ。場合によっちゃ武力行使も黙認される。娘だろうと関係無い。もうあんたにできることはない」


「行ってみなきゃわかんないでしょ!?!」


「では行くなら一人で行ってください。俺の姉さんを巻き込むな。もしあんたの都合で姉さんが殴る蹴るなどされたら、俺は本気であんたを殺すぞ」



地を這うような声音で紡がれる脅迫。



見たこともないほど冷酷な双眸が美里を貫く。