「守助、私今日は怪我してないよ」 「そうですね」 「怪我してないのに…」 白い人差し指が塞ぐように私の口に置かれる。 伏し目がちな守助が色っぽくて、姉弟の境界線が分からなくなりそうだった。 「姉さん、かわいい。この世で一等、美しいひと」 沈むように横顔が私の胸に埋められる。 心臓の音を聞かれる。 心底愛おしそうな呼吸をするので、むず痒さを誤魔化すために濡れ羽色の髪を撫でてやった。