「離して。守助」 「あの人を庇ったら、最悪姉さんまでお山へ連れていかれちまう」 「離しなさい」 「いやです」 「守助」 「姉さんが酷い目に遭うくらいなら、俺はあの人の命を捨てる方を選びます」 きっぱりと言われ、人垣から逃げるように手を引っ張られた。 隣にいた琉平が何か言ったような気がするけど、守助のてのひらの力強さに振り向くまもなく家路へと戻った。 背後で老父の泣き声がこだまする。 苛立ちを纏った守助の横顔、鼓膜には命が攫われる運命の音。 すべての居心地が悪くて、吐きそうだった。