この村には因習がある。
頭のおかしくなった人間
いわゆる"気狂い""魔物憑き"と揶揄られる人たちはみな、お山に捨てて神様に隠してもらうという。
隠してもらう、というのは捨てられた後の人間に起こる残酷な末路を柔らかく表現したもの。
つまるところ『死』
お山の奥深く。
帰ってこられないほど深くまで導き、捨てる。
待つのは餓死か、さまよった末の転落死か。
もしくは…人々が曖昧に信じる、神に攫われるのか。
定かではないが、迎える結末は同じ。
くだらない、ありえない、きもちわるい。
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