結局強引に群衆の内へと連れていかれ、輪の一員に加えられた。
一方守助は、自身の存在を認知されないことなど慣れた様子で私のそばにいる。
せめてもと手を繋げは、握り返してくれた。
「やめてくれ!美代子はまだ違っておらん!」
やつれた白装束の女性を庇うように立ちはだかるのは父親と思われる老父だった。
最後の矜恃を捨てて地面に額を擦り付けるその姿に胸が痛む。
「中村さん、あんたの娘…もうまともに喋れねぇだろ。見ろ、頬もこけちまって。こりゃ憑き物だ。村の掟知ってんだろ?神さんとこにやるしかないんだよ」
老父の友人らしき男が宥めるようにその肩を撫でた。
優しく諭している風に聞こえるが、言っていることは残酷だ。



