自分に弟がいると知らされたのは、私が七つのときだった。



『菫(すみれ)姉さん、これからよろしくおねがいします』



幼気な相貌に子どもらしくない哀愁を滲ませた、不自然なまでに大人びた男の子。



2つ下の弟、守助(もりすけ)。



血の繋がった姉に対して敬語で挨拶するその様子は、幼いながら違和感をおぼえた。