…やっと老人ホームに帰ったか。
「このまま棺桶に入ってくれねぇかな…」
そうしたら、万事解決なんだけどな。
まぁ、そんなことはどうでも良いか。
帰ったんだから。尻尾巻いて。
それより。
「…お前な、泣くなら声をあげて泣けって。何も恥ずかしいことじゃないぞ?」
「…んー…」
駄目か。
まぁ、いきなり慣れないこと言われても、出来ないよな。
何せ、今まで泣いたことないんだから。
「もう大丈夫だからね、令月君。君は偉いよ。立派だ。ちゃんと正しい方を選んだ。偉い偉い」
シルナが、よしよしと撫でてやると。
更にぼろぼろ泣くもんだから、もう俺の服ぐちょぐちょ。
クリーニング代は、とりあえずシルナ持ちな。
泣かしたのシルナだし、妥当だろ。
「…しゅ、せいれ」
あ?
令月が、ぼろぼろ泣きながら、何か言った。
何て言ったのか分からない。母国語か。
「なんて?」
「ぼ、く、のせいで、てき…。しゃまおう、王国、てきに…」
あぁ。何となく分かった。
自分のせいで、実質ジャマ王国を敵に回してしまったことを言ってるんだな?
大袈裟ではない。
これは、確かに国際問題だ。
『アメノミコト』は、ジャマ王国裏社会の支配者。
奴らがジャマ王国で、どれほど覇権を握ってるのかは知らないが…。
裏社会の支配者ともなれば、実質ジャマ王国そのものを敵に回した、と言っても過言ではない。
この年端も行かない、泣き方も知らない少年一人を巡って、「ルーデュニア聖王国・ジャマ王国」国際間に亀裂を入れてしまったのだ。
これは、フユリ様にも報告しなければならないな。
でも。
「子供が心配することじゃない。そんな難しいことはな、ここにいる…そう、おっさんにでも任せておけば良いんだよ」
「え。私?」
私に決まってるだろアホか。
「僕の、せいで、人が、いっぱい死ぬ…」
「大丈夫だ。お前のせいじゃない」
こいつの六法全書には、未成年保護法的なものがまとめて削除されてるらしいな。
「良いか、よく聞け令月」
俺は、令月の額にコツン、と自分の額を合わせた。
声もあげずに泣くこの少年に、俺がどれだけのことをしてあげられるだろう。
考えるな。
何でもしてやれば良い。自分の出来ること、全部してやれば良い。
「何も、何も心配しなくて良い。全部大丈夫だ。絶対何とかしてやるから。絶対守ってやるから。もう二度と、絶対怖い思いも痛い思いもさせないから」
「…んん」
「生きろ。何も考えずにただ生きろ。難しいことは何も考えずに、生きてるだけで良いんだよ」
分かったか、この大人ぶりっこが。
「このまま棺桶に入ってくれねぇかな…」
そうしたら、万事解決なんだけどな。
まぁ、そんなことはどうでも良いか。
帰ったんだから。尻尾巻いて。
それより。
「…お前な、泣くなら声をあげて泣けって。何も恥ずかしいことじゃないぞ?」
「…んー…」
駄目か。
まぁ、いきなり慣れないこと言われても、出来ないよな。
何せ、今まで泣いたことないんだから。
「もう大丈夫だからね、令月君。君は偉いよ。立派だ。ちゃんと正しい方を選んだ。偉い偉い」
シルナが、よしよしと撫でてやると。
更にぼろぼろ泣くもんだから、もう俺の服ぐちょぐちょ。
クリーニング代は、とりあえずシルナ持ちな。
泣かしたのシルナだし、妥当だろ。
「…しゅ、せいれ」
あ?
令月が、ぼろぼろ泣きながら、何か言った。
何て言ったのか分からない。母国語か。
「なんて?」
「ぼ、く、のせいで、てき…。しゃまおう、王国、てきに…」
あぁ。何となく分かった。
自分のせいで、実質ジャマ王国を敵に回してしまったことを言ってるんだな?
大袈裟ではない。
これは、確かに国際問題だ。
『アメノミコト』は、ジャマ王国裏社会の支配者。
奴らがジャマ王国で、どれほど覇権を握ってるのかは知らないが…。
裏社会の支配者ともなれば、実質ジャマ王国そのものを敵に回した、と言っても過言ではない。
この年端も行かない、泣き方も知らない少年一人を巡って、「ルーデュニア聖王国・ジャマ王国」国際間に亀裂を入れてしまったのだ。
これは、フユリ様にも報告しなければならないな。
でも。
「子供が心配することじゃない。そんな難しいことはな、ここにいる…そう、おっさんにでも任せておけば良いんだよ」
「え。私?」
私に決まってるだろアホか。
「僕の、せいで、人が、いっぱい死ぬ…」
「大丈夫だ。お前のせいじゃない」
こいつの六法全書には、未成年保護法的なものがまとめて削除されてるらしいな。
「良いか、よく聞け令月」
俺は、令月の額にコツン、と自分の額を合わせた。
声もあげずに泣くこの少年に、俺がどれだけのことをしてあげられるだろう。
考えるな。
何でもしてやれば良い。自分の出来ること、全部してやれば良い。
「何も、何も心配しなくて良い。全部大丈夫だ。絶対何とかしてやるから。絶対守ってやるから。もう二度と、絶対怖い思いも痛い思いもさせないから」
「…んん」
「生きろ。何も考えずにただ生きろ。難しいことは何も考えずに、生きてるだけで良いんだよ」
分かったか、この大人ぶりっこが。


