こわれて星




「ホントは仲良いでしょ」

「仲良くねーよ。アイツが勝手に家に来ただけで」

「じゃ、砂原が芽吹と仲良くしたいんじゃない?」

「無理。アイツめんどくせー」



バスケ以外でも意外と交流がある2人は傍から見ると仲良しだけど、いつも否定するから触れないでおこうと引き下がる。



「砂原が家に来た時、アイツらがたまたま居たから。勝手に色々話したんだと思う」

「そうなんだ。芽吹、それ知らなかったの?」

「部屋から出てない」

「だから話したのかもね。芽吹への嫌がらせのために」



思わず笑うと芽吹は眉間に皺を寄せて、唇を結んで押し黙った。


それで私の頬に触れていた横の髪に触れる。また髪食べてたかな、と呑気に思っていると彼の指先はゆっくりと下に伝って首筋を撫でた。



「ムカつく」



真ん中あたりで止まった指先がすこし角度を変えて、チリ、と爪が僅かに食い込む。



「彗のほうこそアイツと"仲良い"んじゃね」



夜、街頭。照らされてる芽吹の平静で無理矢理落ち着かせた固い表情に、やっと理解した。砂原が絡むと彼はいつになく無表情。


不機嫌にも見えるけど、学校の彼にも見える、無表情。それは私のせいだってすこしは自惚れてもいいかな。


私の首筋に触れる芽吹の手に自分の手を重ねる。



「でも私に触れるのは芽吹だよ」



すこし目を見張った彼は、何か言おうと口を開いて。言葉を選ぶようにまた結んで。


零れるように小さく笑った。



「彗ってわるい女だね」



その言葉に私が答える前に、



「彗のせいで俺、早死にしそう」



物騒なことを付け加える。



「なんで私のせいなの?」

「手貸して」



重ねていた手を払われて、次は芽吹に掴まれる。私の手のひらを自分の胸元に押し当てた彼を見つめると、流石に気づいてしまった。


手のひらで感じる彼の鼓動は速くて、無表情からは読め取れないほど。これが私のせいなら、なんて、芽吹は私を。



「芽吹、ずるいよ」



私のこと好きだって証明がこれだとしたら。



「早死にしないでって言えないじゃん」



私で平常心、乱してて欲しい。


そんなのばかりだからまた心臓が大きく鳴る。芽吹を今すぐ抱きしめたくなった。



「今日、すなお。どーしたの」

「だって芽吹が素直だから」



胸元から手を離して、彼の手を繋ぎ直す。大袈裟に引っ張れば素直に歩き出すそのやさしさが、私をもっと駄目にする。


あのお祭りの日みたいに私に引かれるままの芽吹。深い藍の空にはキラキラと散らばる星々。彗星、流れないで。そんなエピソードよりもっと温度で覚えていたい。



「じゃ、定期的に素直になろうかな」



冗談を平坦な口調で言う彼に、すこし笑った。