頼りなく続いていた会話がその言葉でぷつりと途絶える。それは私が黙り込んでしまったからだった。
芽吹の固い表情。一緒に学校から帰っていたあの日も夏祭りの夜も、彼はこんなふうに表情を緩めることをやめて、私を見てた。
「、聞いたから」
震えないように気をつけた声で言葉を押し出して、何とか彼を見つめ直した私の、心臓がより鼓動を鳴らす。
「アイツに?」
「うん」
芽吹は、笑った顔も無表情もキレイで似合うと思う。
キレイで、憧憬の的で。そんな彼の、この表情が、まっすぐに私に向けられていると感じると私は。
ああやっぱり私は、すこしの優越が灯って。
「あ、そ」
その素っ気ないように響く声も、今までの距離感を許されたようで楽だった。なのに今はこんなにも苦しくなる。
芽吹のやさしいところしか見たことなかったのかもしれない。いや、私にわざわざ柔らかいところだけを向けていてくれたのかも。
やっぱり今さら胸を占めるのは罪悪感だった。
「私は、」
芽吹にいつもそんな顔をさせてるね。
夏祭りのときも彼にそう告げた。芽吹は私に優しさをくれるけれど私は彼を困らせてばかりな、そんな気がする。
私は、芽吹にいつも。私のせいでいつも。
芽吹は私のせいで自分の中がぐちゃぐちゃになってるって言ったけれど、そんなの私の方が数倍崩されて掻き乱されて、こんな気持ち言えないほど。
芽吹ばかりだ。いつも。
「私は、芽吹のそばにいられるような資格はないって思ってた」
だからこそ不意に思ってた。
芽吹には私じゃない方がいいって。
「彗、何言って、」
「聞いて芽吹」
微かに目を瞬かせた彼の言葉を遮る。
本心を音にするのって勇気要る、し、声が震える。芽吹のチョコレート色の瞳を見返すような心構えもできずに視線を落とした。
「…私たちの始まり方ってフツウじゃないから。ただの友達でも全くカンケーないクラスメイトでもないから、良くないって思ってた」



