「テキトーに座ってて」
芽吹はそう言って、私をひとり部屋に置いてドアを閉めた。
「テキトー、って」
言い親しんだワードに頭を悩ませる羽目になるなんて思いもしなかった。
話がある、なんて言った私に芽吹は特に何も言わずに部屋にあげてくれたけれど。何から切り出せばいいんだろう。
長く待たせてしまうかもって言っておいて5日後に結論出ました、って、都合良すぎる。
それも今更のことなのかもしれない。
いつものようにベッドの脇に座り込み、何となく正座して。ポケットに入れていたスマホをテーブルの上に置いた。
それですこし深呼吸する。
「いいの、かな」
これでいいのかずっと、わからないまま、何もかもしまいこんできた。
何もできないのに我儘で甘ったれた部分、そこだけ成長したのに。肝心な恐怖と逃避の思いは置き去りで。
そもそも芽吹との始まりなんて。
延長線上に過ぎなかった。
「ああーこわいな」
いつの間にか、じゃない。最初から、それこそきっと出会ったときから、彼に思っている。言えない。
正座を崩して、大きなビーズクッションに埋もれた。
まだ何も伝えてないのに涙が出そうでひりひりする。こんな思いするの、もう仕方ない、だって冬が私を覆って。
取り返しがつかないくらい、動けない。
動きたくない。故意だ、ずっと。
故意に、冬に、掴まれている。
ガチャ、とドアの開閉音が聞こえてクッションから顔を上げると、芽吹は不思議そうな顔をして私を見た。
「何してんの」



