こわれて星




毎日毎日、私の部屋か芽吹の部屋。
どちらかで会話をしながら机に向かい、無駄に出された課題を片付けて。それで疲れてゲームして。


小学生のような夏を過ごし、それでも特に何も思うことがない。気づけば来週の予定だった夏祭りも当日を迎えた。



「浴衣は着ないって言ってたはず」



クローゼットの前で悩みこむなんて、ここ数年なかったことだ。


ぐるぐると考え抜いたあげく選んだ服を着て、鏡の前に立つ。サキが誕生日にプレゼントしてくれた恰好。


ちょっとスカートの丈が短いかな、なんて思いながらしゃがみこんだりして。舞い上がってるみたいで胸がむずむずする。


スマホの画面に浮かぶ時間も、準備万端に待ち構えているバッグも。今日だけはって張り切ってる感じが見えて本当に。


私が私じゃない。悔しい。



「やば、時間」



床でだらけていた身体を起こして、バッグを掴んで玄関に急ぐ。静まった家の中、慌てる私の足音だけが響いて。


それに平静を取り戻してしゃがみこんだ。メッシュ生地が使われた黒のブーツサンダル。この日のためにおろしたとかそんなこと言いたくない。


紐をきゅっと結んで立ち上がると、いつもより視界がすこし高くなる。


急いで玄関の鍵を回してすこし早歩きで神社に向かった。歩いて行けなくはないくらい割と近所のその神社は、今年の夏祭りの出店の中心場所になっている。


花火は違うところであがるようだけど、芽吹は出店が目的だから。


早歩きで向かっていると、だんだん人が多くなってきて。鮮やかな浴衣、ラフな恰好、如何にもって感じのわんぱくそうな小学生。


ほのかな灯りが宿った道に何となく懐かしい気持ちになる。


混んできた道をゆっくりと歩いていると、私の目的の人が、ぼうっとスマホを見ながら佇んでいた。変わっていないホワイトブロンドに苦笑する。



「芽吹」



流れてきた人の間を通り抜けて彼に近づく。
顔を上げた芽吹は、私の肩に手を置いて自分の方に引き寄せた。



「危ねー、」

「え?」

「彗に突進してきてた」



部活の恰好をした男子グループが急ぐように神社の中に駆け込んでいく。



「ありがとう」

「いーよ」