こわれて星




元来た道を黙って戻る間、小学生はもう疎らで。高学年の子が二、三人しか通っていない。黄色の帽子はもういない。


アイスを吸いながら視線を左右に投げていると、あるポスターに目がとまった。



「あ、」

「うん?」



デカデカと彩られた模様、踊る文字。



「夏祭り?」



芽吹はポスターに近寄って平坦にそう呟いた。


木材の塀に貼られた色とりどりの派手なポスターはミスマッチで、それを芽吹が見ているのも何だか可笑しい。


ちょうど日陰になっていると目敏く気づいて、ポスターの方に寄ると、芽吹が不意に私の名前を呼んだ。



「これ、行こーぜ」



温い風が髪を揺らす。



「ふたりで?」

「嫌?」

「ううん」



思わず顔をあげる。いつもの無表情がポスターを向いていた。ゆっくりポスターに指を伸ばした芽吹は、小さい文面をさす。


目を凝らしながらポスターに近づいてみると、" 出店は過去最大数 " という文字が並んでいた。



「芽吹っぽい理由」



振り返ってそう言えば、芽吹はすこしだけ眉を寄せて顔を顰める。



「いーだろ別に。今めっちゃ焼きそば食いたい」

「でもこれ来週だよ」

「余裕で待てる」



人混み苦手って言ってたはずの彼の、自信がなさそうな微笑みにちょっとだけ可愛いと思ってしまった。


言ってしまえばきっと厄介だから胸にしまい込む。私だけが知ってても問題ない。来週のことも。


本当は気にしておきたいこと沢山あるのに全部吹っ飛ぶくらいに、ポスターの花火と夏の熱が温度を上げて。


芽吹の真っ直ぐな眼に流されてしまいたいって。思ってしまった。



「待ち合わせ、神社の前ね」




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1週間って色濃く残るものだと、夏休みが始まっては実感することの第1項目だと思う。そう思うくらいに今年の夏は冷房の風に包まれていた。


課題をすべてやりきるなんて、夏休みが楽しみで仕方ない小学生が成す技だと勘違いしていたみたい。