こわれて星




「も、もういいよ」

「そ? 残念」



ここで動揺を表面に出したらあからさますぎて嫌だけど。何でもいいから手を離した。芽吹はすこしおどろいた顔をしていたから平静を引っ張り出す。


次にお菓子をテキトーに選んでいると、芽吹はコーラを二本カゴに入れてきて、予想外の重さに睨み上げた。


彼は眠そうに欠伸をして、無駄に気だるげだから何も言う気がなくなる。


レジにそのままカゴを置き、品出しをしていた店員を待つ間。芽吹は思い出したようにプリンを持ってきた。



「また?」

「ちげーよ。機嫌取り」

「だれの?」

「姉」



笑顔でやってきた店員が会話を打ち切り、私はとりあえず千円札だけをトレーに乗せる。その瞬間に買って貰おうと思っていたことを思い出したけれど、引っ込めるわけにはいかず断念。


芽吹は気づいたように小さく笑い声を零して、レジ打ちを終えたらしい店員が困ったような声で金額を口にした。


会計を済ませて一つずつ袋を持ちながら外に出る。まだ辛うじて冷気が背を押す。芽吹は構わず歩き出して、遅れて後を追った。


灼熱、までとは行かない暑苦しさが一気に肌を刺す。黒髪はいつも以上に熱を集めている気がする。



「彗、」



いつの間にかふたつで1セットのアイスを開けて、分けたらしい芽吹が私にひとつ差し出してきた。



「ありがとう」

「うん」



受け取って、すこし溶けたところを舐めるとほのかなコーヒーの味が冷たさと一緒に広がる。美味しい。


アイスひとつで簡単に気があがってしまう。そんな季節なんだっていつも実感してる。傾く気がない太陽に照らされる芽吹はやっぱり似合わない。