こわれて星




「明日染めよ」



芽吹が冗談っぽくわらうのと同時に信号が青に切り替わり、日陰とはお別れして歩き出す。無駄に整って白っぽく見えるアスファルトが眩しい。


喚く蝉もはしゃぐ黄色の帽子も、夏によく似合っていて横目で追った。


なのにコンビニに急ぐ私は随分夏を懐古的に思うようになってしまって仕方ない。だって、なんか、億劫。


変わらないはずの高揚は過去形に形おさめる。



「帰ってからゲームしたいな」

「いーけど。最近やたら意欲的だね」

「スカッとする」

「同感」



新しいソフト増えてたよ、という芽吹はなぜか他人事みたいに言う。問えば、



「アニキが買ってきてた」



なんて平坦に言った。
芽吹は嫌がるけどぜったい可愛がられて育ってるんだと思う。


自動で開いたドアを通り過ぎながら、何かブツブツ言っている芽吹の手を引っ張る。真っ先に向かったのはアイスコーナー。



「これ、と、あとこれ」

「待って。何個選ぶ気」

「新商品らしいよこれ。これもね」



コーナーの横に置いてあったカゴに欲しいアイスを次々に入れていく。私を止めようと口数が増える彼を見上げた。



「芽吹の分も、ね」



わるいこと言ったってわかっている。


芽吹は眉を寄せて黙り込んでしまった。自覚があるから言う気にならない。ごめんね素直にしか言えなくて。程々なんてあまい。


さりげなく紛れ込ませた高いアイスも、素直な証拠で無許可。カゴを片手で持って、次はお菓子を物色しようなんて気は違う方向を向く。


彼は無遠慮に私を引っ張って慣れたようにおにぎりを二、三個選んだ。



「手、痛い」

「先に繋いできたの彗じゃん」



繋いできた、と捉えられると口端に引き攣る。


そんな私にゆっくり微笑みを浮かべた芽吹は、眼を細めて「ね?」と囁いた。頭が再び熱くなる。自業自得。