去年の夏もそうだったでしょ、と言えば芽吹は気の抜けた返事をした。
「アイス食べたいな」
「わかったわかった、週2用意しとく」
「残りの3日は?」
「彗の担当」
「芽吹のために買ってきてあげるね、激辛」
「勘弁して」
ランドセルを背負った小学生の集団が私たちの隣を駆けていく。黄色の帽子に目が止まり、何となく芽吹が被っているのを想像した。似合わない。
近くの小学校に通っていたなら有り得そうだな、なんて思って。すこし興味がわいてしまった。
「芽吹も被ってたの?」
「何を?」
「黄色の帽子」
すこし考えるように唸った彼のシャツを引っ張る。きゃあきゃあ笑う小学生が芽吹にぶつかりそう。すこし私の方に寄った芽吹は、笑い声を零した。
「流石に低学年の時は被ってた」
後は知らね。と言う彼はなぜか私の頭に手を置く。
「似合うんじゃね、彗」
「バカにしてんでしょ」
いちいち言わないと気が済まないのかな。
やたら私を小さい扱いする芽吹の笑顔はちょっと意地が悪そうに見えた。腹が立つ。
いちばん高いアイスを奢って貰おうと決め込んで、ようやく見えてきたコンビニを指さした。新商品発売、という旗が立っていてそれも追加しようと心に決める。
「アイス買って」
「腹減ってんじゃねーの?」
「とりあえずアイスから」
「じゃ行こ」
横断歩道が切り替わるまでブロック塀の影に日除けをしていた私たちを、何かちらちらと見ながら道行く人を見て。
手で温い風をあおぐ私に、芽吹が不満そうな声で名前を呼んだ。
「何で見んの」
「髪色派手だからでしょ」



