こわれて星




薄いリンゴジュースを勢いよく呷って机にコップを置いた。財布とスマホだけを鞄から取り出して立ち上がる。


同じように準備を済ませた芽吹はベッドからゆっくり立ち上がって、部屋のドアを開けた。冷気がスっと逃げていく。


先を行く芽吹の背を追いかける。今日も静かなこの家に、なぜか今さら罪悪感が募る。芽吹の部屋にはよく来るけれど、未だに芽吹の家族に挨拶できたことがない。


嫌な女だな、と自分で思いながら階段をおりて玄関へ向かった。ローファーを履いて芽吹に続いて外に出る。


眩しさが真っ直ぐ目に刺さった。



「彗?」

「うん」



鍵を締めた芽吹が不思議そうに私を見る。気にしないふりをして太陽下に踏み出すと一瞬で暑さが身にしみた。


明るすぎて飽き飽きしてしまう。夏の。雲一つない真っ青が頭上で存在占めている。


深山家の門を丁寧に扱う芽吹は、黙り込んだ私を覗き込んできた。



「熱中症?」

「元気」



もし熱中症になったとしたら高確率で芽吹のせいになるけれど。狡いことしてるって思いながら芽吹の影に隠れる。


このときばかりは自分の身長の低さが意外と便利。風はずっと温いまま。いまが夏だと実感させてくる。



「夏休みだね」



午前中の堅苦しい校長センセイの話を思い出しながら口にした。夏休みはあーしなさいこーしなさいって。


暑苦しい体育館が生真面目に話なんてしちゃって。やることなくてただ座ってただけだけど。



「何すんの? 彗は」

「学生の本分」

「課題なら一緒にやろーぜ」

「芽吹サボるじゃん」

「だから見張っててほしーんだけど」